牧神の午後の日記

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日本型SCMのベストプラクティス 荒木勉編著

 代表的なSCM先進企業(2003年当時)の事例の紹介本です。冒頭にSCMに関して総論的に解説し、さらに続く各章では各企業での推進者が自社の取組として紹介しているので、リアリティがあり参考になる部分が多々あります。正直ここまで公開するか?とちょっとびっくりする部分もあります。採上げられている企業は、P&Gキリンビールアサヒビール、ポッカ、キューピー、ハピネット三越の7社。食品系企業が多いのは、基本足が速いため、SCM、在庫管理の必要性が高いからでしょうね。2003年発行なので、その後深化・進化しているところも多いと思いますので、さらに最新状況が解る本があると非常に嬉しいのですが、というのは贅沢ですね。
 単純なシステム導入だけではなく、在庫責任をどう持たせるか、その為の組織、管理制度をどうするかをやはり各社工夫しています。営業の販売予測ではなく物流管理に需用予測をさせて調整をかけるキリンビールと、営業の情報を迅速に収集し積極的に需用予測に取り込むアサヒビール、とビールのトップ2は企業風土からくるのか、好対照を見せていて非常に興味深いところです。
 ちょっと不満だったのは冒頭の概説部分。いえ概説としては非常に判りやすくまとまっているのですが、各社の事例とのリンクづけが薄く(当時の海外先進モデルを例に引いていて)、理論と紹介各社の実践の対応づけがあるともっと判りやすかったなぁと思った次第。

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