牧神の午後の日記

オタク系の話題です

百合心中 猫目堂ココロ譚 東雲水生

 サブタイトルであるところの「猫目堂ココロ譚」の方に重点を置いた方が良いでしょうね。自分の心のありかが判らなくなって行き詰まったときに、黒猫とともにふと迷い込む猫目堂。そこで扱っているものは全て心の形。心が化体したモノを見つけることで、迷いが晴れるオムニバス形式の短編集。
 でもって、メインタイトルであるところの百合心中はその第一話のタイトルだったりなんかして、まさに名は体を表すと申しますか、Girl's Loveです。今回収録作品は全てまぁ百合ですし、続刊があるとしても掲載誌が掲載誌(「百合姫」)なんで、それ以外はない、って感じもしますが、悪く言うとありきたりな設定、よく言えば、(迷いのある主人公は)何でもありにもって行ける設定、それに作者の心情の描写、説明の仕方(ネーム)が巧いんで、個人的には百合だけじゃなくて、インモラル全般ありにしてほしいなぁ、と思ったり(笑)。
 ちょっとした背徳感と、百合に萌えられるという前提があって、表紙のカップル(?)が各話登場人物なんで、その絵柄が気に入ったら買って損はないと思います。ただ、この手の話は受け付ける/受け付けないもあって難しいですね。受け付けない人であっても、騙されたと思ってでもぜひ読むべし(たとえば「TOMOI」(ゲイ漫画ですが))と言えるまでのストーリー的な掘り下げ・説得力もないのが少々辛いところ。繰り返しですが、心情描写は非常に細かく描けているので、この設定で同一主人公カップルで丸々一巻使った長編ってやったほうが、ドロドロになる可能性大有りですが、かなりの冒険で面白いかもと思ったり。

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amazon: TOMOI 性的嗜好性はいたってノーマルなんで、ホモ・ゲイはあんまり受け付けないんですが、それでもこの漫画は衝撃。騙されたと思ってでも読んで欲しいです(笑)