牧神の午後の日記

オタク系の話題です

現実入門 穂村弘

 本人曰く現実経験値が低く、40歳超えて結婚離婚の経験は勿論、一人暮らしの経験もない。経験値稼ぎのために競馬、献血、占いにモデルルーム見学、合コンなどなど美人な担当編集者(伏線)と様々な経験を積む様を、作者独自のちょっとトボけてホンワカな優しい目線で面白おかしく描写しています。
 多分、この本の面白いところは、本人至極真面目で、ある意味必死で、自分に巧くできるか心底心配しているのに、客観的に見るとそれがピント外れな必死さと心配のしどころってところと、現実とうまく折り合えない人間が、折り合えている人間を見たときの奇妙さを嫌みにならず優しく描写しているところにあると思います。ので、私には大爆笑、というよりニヤニヤしてしまう類いの面白さでした。
 まぁ、作者の定義に従うなら、私も現実経験値は決して高くないですし(作者に勝てるのは一人暮らしの経験くらい?w。恋愛経験は確実に敗けてそうだしorz)、マス席での大相撲観戦なんて、是非ともやってみたいところでもあるし、なんといってもなんとなく「一日お父さん」のところあたりから感じていたのですが、結局美味しい結末なのね!(- -#)というところが、なんともかんとも。まぁ、「あとがきにかえて」でオチを付けたつもりなのかもしれませんが、読者の目はそんなオチでは誤魔化せないのです。

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