牧神の午後の日記

オタク系の話題です

現代萌衛星図鑑 しきしまふげん

 ひまわりに始まりはやぶさ、かぐやに至る7機の日本の人工衛星についてミッション、開発経緯、結末までを解説した人工衛星入門とでも言うべき書籍。ただ、その解説の方法論において、タイトルのとおり明後日の方向に逝っちゃってる(褒め言葉)ところが極めて日本的(笑)。
 しかし、たとえば「魔法少女リリカルなのは」が萌アニメの皮を被った燃えアニメであるように、この本も他の萌系解説本とは一線を画した、じつは「燃え」解説本なのです。その証拠に帯に「萌擬人化の最先端!」とあっても、表紙カバーを外して出てくる言葉は「理系燃えジャンルの最先端!」。なんというか、「もえたん」はネタに走りすぎた感(そこがヒット?に繋がったのでしょうが)のあった三才ブックスでしたが、この本は解説の方法論こそナックルボール並の変化球ながらも、内容は松浦晋也氏が監修し、JAXAも協力していることもあって極めて真っ当。萌系解説本の極北を極めた感すらあります。
 開発に5年程度、場合によっては10年かかる人工衛星、それが打ち上げ運用されるは宇宙という過酷な環境。そりゃぁ一筋縄で行くわけもなく、毎回毎回がプロジェクトXの世界。智慧と勇気でそれらを切り抜ける彼女達とサポートスタッフ。でも最後は人工衛星だから地球に落下させたり、月に衝突させたりと決して幸せ(?)なものではなく、それでも健気にその役目を真っ当する「宇宙をかける少女」達の姿には感涙必至。全国の中学・高校に配布したら理系離れの叫ばれる昨今の傾向も変わるのではないか?と心底思います。まぁ、オタ製造という副作用も間違いないのが困りどころではありますが。

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