牧神の午後の日記

オタク系の話題です

最後のコンサートのドラマツルギー

 中川右介さんの「巨匠たちのラストコンサート」読了。帯の惹句にもありますが、トスカニーニバーンスタイン、グールド、フルトヴェングラーリパッティカラヤン、カラス、クライバーロストロポーヴィチ9人の「音楽と人生が刻印された最後のコンサート」をについて、そこへ至る物語。リパッティのようなドラマチックな、いかにもファイナルコンサートもあれば、グールドのような単なる日常にしか過ぎないものもあり、バーンスタインのような痛々しいものもあれば、クライバーのようなとても予想の付かないものまで、当時の演奏家・周囲の状況、そして著者の想いまで含めて書かれており、非常に興味深いものです。しかも殆ど音源が残っており、その演奏をこの耳で確かめられるのが良いです。
 あえてもう一つ注文をつけるなら、テンシュテットコンドラシンバックハウスあたりもあればなお良かったかなぁ、と。勿論、朝比奈のオッサンはデフォルトで。

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