牧神の午後の日記

オタク系の話題です

BLASSREITER第14話「聖者の選択」

 人はどれだけ絶望の辛酸をなめたら幸福になれるのか?今回の話をみて、ザーギンの選択を非難することができる人間はいないと思う。それほどに深い絶望の闇に彼は落ちてしまったのだから。
 運命のイタズラか、姉サーシャと邂逅するジョゼフ。ザーギンと並ぶその姿は、まるで姉夫婦と弟というまさに幸せ家族のワンシーンのよう。が、ほんのささやかな幸せでさえも彼らには許されない。移民排斥は激しい。ジャン=バルジャンはたった一切れのパンのために盗みを犯し、その魂の長い長い遍歴をたどることになる。でも移民の子供たちは、まさに自らの命と引き換えにパンを求める。それを誰が責められるのか?これだけ絶望・苦難の道を目の前にしても、どんなに過酷でも命は生きるに値すると言い切れるジョゼフの強さが際立っています。まさに虚淵だなぁ、と目頭が熱くなる一方です。
 そして、諸悪の根源たるヴィクター所長、あんた人間のクズや、と反吐を吐きたくなる、そのサイドにメイフォンがいて、そしてオッドアイとなったサーシャがラストに降臨。いったい彼女はどうなってしまったのか?本人なのか、正義なんて安易なものにはおそらく頼れないこの世界の行く末をしかと見届けたいものです。

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