牧神の午後の日記

オタク系の話題です

蜘蛛の紋様 1

 PALMは今を去る20年前、高校時代の同級生から紹介されて、当時はまだ「あるはずのない海」の連載中という状況、しかし単行本を読んで、あっという間にハマった作品。ぱふでも時々作者がインタビューを受けていて、最終話の前に過去編をやる、ということを答えていました。「愛でなく」の連載中に出版された「パームブック」では本作について「愛でなく」に次ぐ長編になる予定、と書かれていました。その待望の作品がついに連載が開始され、単行本で読めるというのは本当にうれしく思います。
 ただ、主人公たちの2代前の世代、20世紀の初頭から主人公たちが出会う1980年代まで、ということで普通に考えたら「愛でなく」どころでない長さの大長編になるのでは?と期待半分、不安半分だった訳ですが、冒頭をみて納得。あっさり小説で描写してます。しかもその小説の設定がこっていて、ジョイがPALMシリーズの語り部として、全てが終わった後に小説に著しているということで、登場人物たちのその後もさりげなく触れられていたりします。カーターが登場してからは漫画で描写。あるはずのない海などでおなじみのシーンの数々が、カーターの生涯の流れに位置づけられて描写されるのは、非常に感慨深くもあり、その先が楽しみであり、恐れもあり、という案配。
 まさに続刊を刮目して待て!でしょうか。

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