牧神の午後の日記

オタク系の話題です

STAX SRS-3050A

 大学時代、ふとしたきっかけで視聴したSTAXの音を聞いて以来、いつかはSTAXとずーっと思っていたのを、土曜日にヨドバシカメラで衝動買い。ぶっちゃけ、iPodというinputを先に何とかした方が良いのではないか?と冷静には思ったりもするのですが、視聴した瞬間にもう心はグラグラ。
 STAXというのは、オーディオファンでは有名な日本のイヤースピーカーのメーカーです。イヤフォンやヘッドフォンと呼ばずに何故イヤースピーカーと呼ぶのか、という詳細はSTAX公式ページを御覧頂くとして、一般的なダイナミック型とは違うコンデンサー型という方式で音を鳴らしていること、そのため専用のドライバユニットが必要ということだけ覚えておけば良いです(笑)。で、今回購入したのは、イヤースピーカーSR-303とドライバユニットSRM-323AがセットになったSRS-3050A (Classic system)。位置づけは入門機の一つ上のランクといったところでしょうか。これは入門機とされるSRS-2050A (Basic system)と聴き比べて、値段以上の差がある、と感じてのこと。いや、実は店員さんを呼んだときには「SRS-2050Aをお願いします」と言ったのを、店員さんが在庫を引き出すときに「やっぱり3050にしてください」と清水の舞台から飛び降りる覚悟で言い直しちゃったからなんですが。
 現在エージング中ですが、上妻宏光さんの「津軽じょんがら節」、芸能山城組の「交響組曲AKIRA」の「Requiem」における間奏のささらの音の粒立ちは異常。音が丸まって聞こえるのではなく、一つ一つの音符が楽譜イメージで聞こえてくるような感じ、といえばよいのでしょうか?また、合唱についても、まるで一人一人の声として聞こえてくるような分解能に、ある意味音楽に集中させられます。さらに、驚いたのがFictionJunction YUUKAの「暁の扉」。YUUKAの声は透明感のある優しいボーカルだと思っていたのですが、SR-303で聞くとなんというか清潔な色気を感じました。梶浦サウンドの特徴とも言える生ストリングとピアノもモコモコした塊は一切なく、メロディラインの美しさを堪能。
 クラシックでは古いところでバリリ四重奏団のベートヴェーンのラズモフスキー第1番。第一楽章冒頭の有名な旋律の音の艶やかなことこの上なし。第二楽章の音の粒立ちはこれでもか、なくらいにはっきり聴こえてきます。なによりも弦楽四重奏という弦楽器のスタンダードな組合せの音色の美しさ。ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ単独の音色、さらにそれがハーモニーを奏でる音色、それぞれが美しく、もう音の世界に遊ぶ感じ。
 ステレオ録音でベーム/VPOによるブル3。冒頭のブルックナー開始にホルンが旋律を奏でるところ、非常に優しく耳に響く。各声部が明晰に聴こえ、各楽器の音色の美しさ、特にオーボエの音色をひしゃげた感じにならずに響かせる能力は流石。パンチ力不足を少し心配していたのですが、f, ff等、ダイナミックレンジの差を感じさせて、音には余裕がある感じです。そして、それ以上だったのがムラヴィンスキーによるモーツアルトの39番シンフォニー。今まで自分が聴いていた音はなんだったのか?と疑問になる程で、「謝れ、マエストロ・ムラヴィンスキーに謝れ」と思わず自分を責めたくなるような音の違いを実感。ムラヴィンスキーの厳しさと優しさを表出した音の洪水で、しかも過剰なまでの会場ノイズも聞こえてきて、気分はコンサートホールで聴いている感じ?まさに音の奔流に身をゆだねるという永年の夢が叶った幸せを噛みしめられました。でも、こうなると、次は上位のSignature、いつかはΩIIと夢はますます続くのでした(笑)。なにはとまれ暫くは自宅での音楽鑑賞は、STAX一本になりそうです。
 一応念のために注意しておくと、開放型ですし、その構造上、音漏れがするというレベル以上に音が周りにダダ漏れですので、他の方がいらっしゃる場所でのご使用は控えた方がよいと思います。

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