牧神の午後の日記

オタク系の話題です

お金は大事だけど。

 同志社の太田肇教授の「お金より名誉のモチベーション論」が年越し本となりました。
 特に後半部の主張には頷けるものが多く、「まったくもってその通り」と膝を打ちながら読んだのですが、そこに至るまでの前半部分がどうもなじめなかったです。
 日本で「認められる」ことには二義性があって、一つは立派な業績を上げること。これが「表の承認」とするならば、もう一つ周りをたてる、巧くやることという「裏の承認」も得る必要があり、裏の証人が非常に重要になっているらしい。それは層かもしれないのですが、個人的には裏の承認をあまりに重視しすぎているように感じます。それによってプレッシャ=に弱い(冬季五輪での不振)や技能継承が巧く行っていないこと、果てはフリーター問題などまで説明しようとするのは牽強付会も過ぎるのでは、と思ったり。
 後半の承認欲求をどう満たすのか?という部分については非常に示唆に富む内容です。名誉の分かち合いなど当たり前、なのかもしれませんが、実行することはなかなか難しいのかもしれません。
 ただ、この種の本を読んで思うのは、皆が皆おなじ価値観で動くのであれば、巧く機能するのかもしれないが、一人でも「裏の承認がなくとも、ズルしてでもお金が欲しい」という人間が紛れると、途端に機能しづらくなるのでは?ということだったりします。

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